2017/10/06

シヌゼン各駅紹介(351) 1501-2000駅レビュー 第8位

#1871 長谷(ながたに)(広島県)

・西日本旅客鉄道 三江線
 船佐|粟屋
【区分】戊II 【撮影日】2017/4/8
【所在地】広島県三次市
【開業】1969(昭和44)年
【乗車人員(日)】0人
【その他】秘境駅ランキング38位(2017)
(1987)仮乗降場から駅に昇格。2018.4.1廃止予定

1501-2000駅レビュー 第8位

<選定理由>
「霧の江の川のほとりにひっそりと。
川風の一部のような存在感。
超閑散ローカル線駅の中でも
さらに停車列車がハブられる小駅。」

広島県三次市に所在。
JR三江線の駅。
三江線は来年3月いっぱいで廃線。
それに伴って当駅も役目を終える予定。

霧に包まれた早朝の江の川。
山深いこの場所でもこの水量。
なかなか豪快な川だが、それゆえ流域は
自然災害とつねに隣り合わせだった。

民家が数軒。
この川の流域は平地もわずか。
道路は狭い、とはいっても
対向車もやってこず。
そんな中に当駅はある。

1969年、
三江南線の仮乗降場として開業。
仮乗降場とは、国鉄時代、
各鉄道管理局が独自に設けたもので、
国鉄本社には認可されず、
全国版の時刻表にも掲載されない停車場。
当駅も1969年に
仮乗降場として設置された。

1987年、国鉄分割民営化により
全国のほとんどの仮乗降場は
「駅」に格上げされ、
当駅も「長谷駅」となり、今にいたる。

一日の乗車人員はゼロ。
ちなみにすべての停車列車を書き出すと、
下り:7:20、9:06、
上り:14:26、17:17、19:46の5本のみ。
下りの最終が朝9時、
上りの始発が午後2時という
都会人には異次元の世界が展開。

駅前のようす。
駅は斜面の築堤上に設置され、
小さな集落を見下ろす。

木造の待合室に入る。
きれいに清掃されている。
豪雪地帯である。
雪かきの道具が
この場所の厳しい冬を想像させる。

座布団と駅ノート。
暖かい気遣いだが、
もう食っていけなくなったんだよ。
だから消えてゆく。

神楽は江の川沿いに島根から
広島に伝わった歴史があり、
それに因んで三江線全駅で
演目を紹介する案内が立っている。
当駅は「鐘馗」。無病息災を願う演目。

ホームは単式1線。
江津側から三次方向を撮影。
ホーム上に構造物いっさいなし。

逆に三次側から江津方向。
当駅の停車列車は上下合わせ
5本と紹介したが、
じつは通過列車が同じく上下5本ある。
所属駅33駅中、
通過扱いがあるのは当駅のみ。
このあたり仮乗降場扱いだった名残か。
まあ、一定数利用客があれば
最初から駅だったろうしね。

江津方には使用されなくなった
「その先の」ホームが朽ち果て残る。
これは他の路線でもたまに見る。
列車はほとんどが単行運転。
こんなに長いホームはいらない。
まさに無用の長物、か。

ホーム端より三次方向を見る。
100kmを越える路線の
全線廃止は本州では初。
もう50年も前から
廃止が取り沙汰されていたが、
ついに本当にさよならする日がきた。

こんな駅に行きたかった。
願いを叶えてくれた
この駅の「手ざわり」を
ずっと忘れずにいたい。




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